$(X,\mathcal{O}_X)$,$(Y,\mathcal{O}_Y)$ を位相空間とするとき,写像 $f:(X,\mathcal{O}_X)\to (Y,\mathcal{O}_Y)$ が点 $a\in X$ で
$[\ V \in\mathcal{O}_Y\ \mathrm{and}\ f(a)\in V\ ]$$\ \Rightarrow\
[\ \exists U\in\mathcal{O}_X,\ a\in U\ \mathrm{and}\ U\subset f^{-1}(V)\ ]$
距離空間 $(X,d_X)$ から距離空間 $(Y,d_Y)$ への写像 $f$ が点 $a\in X$ で連続であるとは
$\forall \varepsilon>0,\ \exists \delta>0,$$\ d_X(a,x)<\delta\Rightarrow d_Y(f(a),f(x))<\varepsilon$
が成り立つことをいうのであった.このことは
$[\ V \in\mathcal{O}_Y\ \mathrm{and}\ \ f(a)\in V\ ]$$\ \Rightarrow\ [\ \exists U\in\mathcal{O}_X, a\in U\ \mathrm{and}\ U\subset f^{-1}(V)\ ]$
が成り立つことと同値である.ただし,ここでの
$\mathcal{O}_X$,$\mathcal{O}_Y$ はそれぞれ $(X,d_X)$,$(Y,d_Y)$ の開集合系(それぞれの距離によって定義される開集合からなる集合)である.
距離空間における写像の連続性がこのように開集合という概念により表されることから,位相空間における写像の連続性も(距離空間の場合の拡張として)同様に定義されるのである.
二つの集合 $X=\{\,p,\,q,\,r\}$,$Y=\{\,0,\,1\,\}$ のそれぞれの位相を
$\mathcal{O}_X=\{\,\emptyset,\,\{\,p,q\,\},\,\{\,r\,\},\,X\,\}$,
$\mathcal{O}_Y=\{\,\emptyset,\,\{\,0\,\},\,\{\,1\,\},\,Y\,\}$
とする.
$f:(X,\mathcal{O}_X)\to (Y,\mathcal{O}_Y)$ を
$f(p)=0$,$f(q)=1$,$f(r)=1$
で定めると,$f$ は点 $p$ で連続でない.なぜなら
$\{\,0\,\}\in\mathcal{O}_Y$,$f(p)\in\{\,0\,\}$
であるが,$f^{-1}(\{\,0\,\})=\{\,p\,\}$ ゆえ
$p\in U\ \mathrm{and}\ U\subset f^{-1}(\{\,0\,\})$
を満たす $U\in \mathcal{O}_X$ が存在しないからである.
同様に,$f$ は点 $q$ でも連続でない.
$p$ と $q$ は $X$ において同じ開集合に入っている(すなわち「近い」)が,
$f(p)=0$ と $f(q)=1$ は $Y$ において別々の開集合に入っている(すなわち「遠い」)ことに注目しよう.連続であるとは,このようなことが起こらないことだと考えてよい.
それに対して,$f$ は点 $r$ では連続である.
実際,$f(r)=1$ を含む $Y$ の開集合は $\{\,1\,\}$ と $Y$ であるが,$f^{-1}(\{\,1\,\})=\{\,q,r\,\}$,$f^{-1}(Y)=X$ であるから
$r\in U\ \mathrm{and}\ U\subset f^{-1}(\{\,1\,\})$
を満たす $U\in\mathcal{O}_X$ としては $\{\,r\,\}$ が,
$r\in U\ \mathrm{and}\ U\subset f^{-1}(Y)$
を満たす $U\in\mathcal{O}_X$ としては $\{\,r\,\}$ または $X$ がそれぞれとれるからである.
$g:(X,\mathcal{O}_X)\to (Y,\mathcal{O}_Y)$ を
$g(p)=0$,$g(q)=0$,$g(r)=1$
で定めると,$g$ は $X$ のすべての点で連続,すなわち連続写像である.
このことは
$g^{-1}(\{\,0\,\})=\{\,p,q\,\}$,
$g^{-1}(\{\,1\,\})=\{\,r\,\}$
に注意して $f$ の場合と同様に考えればよい.
$f$ が連続写像であるとする.
$V\in\mathcal{O}_Y$ とし,$a\in f^{-1}(V)$ を任意にとる.
このとき $f(a)\in V$ だから,連続性の仮定により
$a\in U_a\ \mathrm{and}\ U_a\subset f^{-1}(V)$
となる $U_a\in\mathcal{O}_X$ が存在する.
このような $U_a$ をすべての $a\in f^{-1}(V)$ について考えることにより
$\displaystyle \bigcup_{a\in f^{-1}(V)}U_a=f^{-1}(V)$
が成り立つから $f^{-1}(V)\in\mathcal{O}_X$ である.
逆に,$V\in\mathcal{O}_Y\ \Rightarrow\ f^{-1}(V)\in\mathcal{O}_X$ が成り立っているとすると,
$a\in X$ を任意にとり,$V\in\mathcal{O}_Y$,$f(a)\in V$ としたとき,
$a\in f^{-1}(V)$ であり,仮定により $f^{-1}(V)\in\mathcal{O}_X$ であるから,
$U=f^{-1}(V)$ とおけば $U$ は明らかに
$a\in U\ \mathrm{and}\ U\subset f^{-1}(V)$
を満たしている.よって,$f$ は $a$ で連続である.