実数 > 第3講 上限と下限

問題

  1. 順序集合 $X$ の任意の部分集合 $A$ について,次を示せ.
    $\mathrm{(1)}$ $A$ が最大元 (最小元)をもつならば $A$ は上限(下限)ももち,両者は一致する.
    $\mathrm{(2)}$ $A$ の最大元・最小元・上限・下限は,それぞれ存在するならば唯一つである.
  2. $\mathbf{Q}$ において,次の部分集合は最大元,最小元,上限,下限のいずれももたないことを示せ:
    $A=\{\,p\in\mathbf{Q}\,|\,p^2 < 2\,\}$, $\overline{A}=\{\,p\in\mathbf{Q}\,|\,p^2 \le 2\,\}$
  3. 順序体において,Cauchy列は有界である.特に,収束点列は有界である.このことを示せ.
  4. Archimedes的順序体において,上に有界な単調非減少点列(および下に有界な単調非増加点列)はCauchy列である.このことを示せ.
  5. $\mathbf{N}$ が整列集合であること,すなわち $\mathbf{N}$ の空でない部分集合は最小元をもつことを既知として,次を示せ.
    $\mathrm{(i)}$ 整数における除法の原理
    $m\in\mathbf{Z},\ n\in\mathbf{N}$ とするとき,$m=Nn+r,\ 0\le r < n$ を満たす $N,r\in \mathbf{Z}$ が一意に存在する.
    $\mathrm{(ii)}$ 任意の $q\in \mathbf{Q}$ に対して $N \le q < N+1$ となる $N\in \mathbf{Z}$ が存在する.
  6. 順序体 $X$ において,単調非減少点列 $(x_n)_{n\in\mathbf{N}}$ の上限 $\displaystyle s=\sup_{n\in\mathbf{N}}x_n$ が存在するならば
    $\displaystyle \lim_{n\to\infty}x_n=s$
    が成り立つ. 逆に,単調非減少点列 $(x_n)_{n\in\mathbf{N}}$ が収束するならば,その極限点は $\displaystyle \sup_{n\in\mathbf{N}}x_n$ に等しい.このことを示せ.
  7. $\mathbf{Q}$ のすべての部分集合からなる集合を $\mathcal{P}(\mathbf{Q})$ と表す. $\mathcal{P}(\mathbf{Q})$ は
    $A\le B\ \stackrel{\mathrm{def}}{\iff}\ A\subset B$
    により定まる関係により順序集合となる. これについて,以下の問いに答えよ.
    $\mathrm{(1)}$ 次に与えられる $\mathcal{P}(\mathbf{Q})$ の点列の上限および下限を求めよ
    $\mathrm{(a)}$ $A_n=\Big\{\,p\in\mathbf{Q}\,\Big|\,\Big|p-\frac{1}{n}\Big| \le 1\,\Big\}\quad(n=1,2,\ldots)$
    $\mathrm{(b)}$ $B_n=\big\{\,p\in\mathbf{Q}\,\big|\,p < n\,\big\}\quad(n=1,2,\ldots)$
    $\mathrm{(2)}$ $\mathcal{P}(\mathbf{Q})$ の任意の(空でない)部分集合は上限および下限をもつことを示せ.
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