$B=\{\,p\in\mathbf{Q}\,|\,-2 < p < 2\,\}$
であるから,これが最大元も最大元ももたないことは
$p\in\mathbf{Q},\ -2 < p < 2\ \Rightarrow\ -2 < \dfrac{p-2}{2} < p < \dfrac{p+2}{2} < 2$
が成り立つことからわかる.
補足
この
$p,q\in\mathbf{Q},\ p < q\ \Rightarrow\ \exists r\in\mathbf{Q},\ p < r < q$
すなわち「異なる二つの有理数の間にはまた有理数が存在する」という性質は $\mathbf{Q}$ の
稠密性と呼ばれる.$\mathbf{Q}$ に限らず,一般の順序体がこの性質をもつこともすぐにわかるであろう.
しかし,$C$ は少し厄介である.我々は「無理数」というものをまだ知らないという建前なので
$C=\{\,p\in\mathbf{Q}\,|\,-\sqrt{2} < p < \sqrt{2}\,\}$
と書くわけにはいかず,$C$ が最大元も最小元ももたないことはそれほど自明ではない(
問題).
この後「実数」が完全に定義され,「$\mathbf{Q}$ は $\mathbf{R}$ の
稠密な部分集合である」,すなわち任意の異なる二つの実数の間には必ず有理数が存在するという事実が既に得られている段階にくれば
$-\sqrt{2} < p < \sqrt{2}\ \Rightarrow\ \exists q,r\in\mathbf{Q},\ -\sqrt{2} < q < p < r < \sqrt{2}$
すなわち,任意の $p\in C$ に対して $q < p < r$ となる $q,r\in C$ が存在するから $C$ は最大元も最小元ももたない,という簡単な話になる.