$(a_n)_{n\in\mathbf{N}}$ を $\mathbf{R}$ の任意のCauchy列とする.Cauchy列は有界であるから,特に,各 $n\in\mathbf{N}$ に対して第 $n$ 項から始まる数列 $(a_k)_{k\ge n}$ も有界であり,従ってその上限 $\displaystyle \sup_{k\ge n}a_k$
および下限 $\displaystyle \inf_{k\ge n}a_k$
が存在する.
$\displaystyle p_n=\sup_{k\ge n}a_k$
$\displaystyle q_n=\inf_{k\ge n}a_k$
とおこう.
このとき
$p_1 \ge p_2 \ge\ \cdots\ \ge p_n\ge\ \cdots\ \ge q_n\ge\ \cdots\ \ge q_2\ge q_1$
となり,
$(p_n)_{n\in\mathbf{N}}$ は下に有界な単調減少数列なのでその下限 $p$ に,
$(q_n)_{n\in\mathbf{N}}$ は上に有界な単調増加数列なのでその上限 $q$ に,それぞれ収束する.まず $p=q$ を示そう.
$p > q$ であったとし,$\eta=p-q > 0$ とおくと,任意の $N\in\mathbf{N}$ に対して,
$p_N-\dfrac{\eta}{3}$ は $(a_n)_{n\ge N}$ の上限ではないから
$p_N-\dfrac{\eta}{3} < a_m$
を満たす $m\ge N$ が,
$q_N+\dfrac{\eta}{3}$ は $(a_n)_{n\ge N}$ の下限ではないから
$a_n < q_N+\dfrac{\eta}{3}$
を満たす $n\ge N$ が存在する.このとき,$p_N\ge p$ および $q_N\le q$ に注意すると
$m,n\ge N$ かつ $a_m-a_n > p_N-q_N-\dfrac{2}{3}\eta\ge p-q-\dfrac{2}{3}=\dfrac{\eta}{3}$
が成り立っており,$N\in\mathbf{N}$ は任意だったからこれは $(a_n)_{n\in\mathbf{N}}$ がCauchy列であることに反する.
そこで,改めて $a=p=q$ とおくと
$\displaystyle \lim_{n\to\infty}p_n= \lim_{n\to\infty}q_n=a$
かつ
$\forall n\in\mathbf{N},\ q_n \le a_n\le p_n$
であるから,はさみうちの原理により $\displaystyle \lim_{n\to\infty}a_n=a$ が成り立つ.