$(p_n)_{n\in\mathbf{N}}$ を任意の有理Cauchy列とする.
$\displaystyle y_n=\sup_{k\ge n}p_k$
$\displaystyle z_n=\inf_{k\ge n}p_k$
とおく.有理Cauchy列は有界である(
問題)からこれらの上限・下限は確かに存在することに注意.
このとき
$y_1 \ge y_2 \ge\ \cdots\ \ge y_n\ge\ \cdots\ \ge z_n\ge\ \cdots\ \ge z_2\ge z_1$
となり,
$(y_n)_{n\in\mathbf{N}}$ は下に有界な単調非増加数列なのでその下限 $y\in \mathcal{R}$ が,
$(z_n)_{n\in\mathbf{N}}$ は上に有界な単調非減少数列なのでその上限 $z\in \mathcal{R}$ がそれぞれ存在し
$\displaystyle \lim_{n\to\infty}y_n=y$,$\displaystyle \lim_{n\to\infty}z_n=z$
が成り立つ(
問題).$y=z$ を示そう.
まず,各 $y_n$ は $(z_n)_{n\in\mathbf{N}}$ の上界なので,$z$ が最小の上界であることから
$\forall n\in\mathbf{N},\ z\le y_n$
従って $z$ は $(y_n)_{n\in\mathbf{N}}$ の下界ということになり $z\le y$ とわかる.
$z < y$ と仮定する.$\mathbf{Q}$ の稠密性より $z < p < q < y$ なる $p,q\notin Q$ がとれるが,このとき,
任意の $N\in\mathbf{N}$ に対して,
$\displaystyle q < y_N=\sup_{k\ge N}p_k$ ゆえ
$q < p_m$
を満たす $m\ge N$ が,
$\displaystyle p > z_N=\inf_{k\ge N}p_k$ ゆえ
$p > p_n$
を満たす $n\ge N$ がそれぞれ存在する.このとき,
$p_m-p_n > q-p$
となっており,
$N\in\mathbf{N}$ は任意だったから,$\varepsilon=q-p >0$ とおけば
$\forall N\in\mathbf{N},\ \exists m,n\ge N,\ |p_m-p_n| > \varepsilon$
ということになり,$(p_n)_{n\in\mathbf{N}}$ がCauchy列であることに反する.
そこで,改めて $y=z=x$ とおくと
$\displaystyle \lim_{n\to\infty}y_n= \lim_{n\to\infty}z_n=x$
かつ
$\forall n\in\mathbf{N},\ z_n \le p_n\le y_n$
であるから,はさみうちの原理(
問題)により $\displaystyle \lim_{n\to\infty}p_n=x$ が成り立つ.